この住宅は伊那市にある(株)医学生物学研究所(本社は名古屋市)の社宅です。
ここはまた永らくアメリカで研究を重ねられたY氏が、伊那の研究所長に就任されるにあたり、会社がご夫妻の為に用意したご夫妻の住まわれるゲストハウスです。赤松とカラ松林に囲まれ、地バチの巣が多くあり、春から夏にかけ田んぼのカエルのけっけっという高音やブオブオというような低音が混ざって賑やかなところで、また春先にはワラビやセリなどの野草の生い茂る環境は都会住まいに慣れたご夫妻の息抜きの場になっています。敷地界隈にはマレットゴルフ場や市営グラウンドもあり、虫の好きなY氏にとってはまたとない「場」なのですが、それに加えてご夫妻が時々休日に登られるという、雄大な南アルプスの仙丈岳が眺望できることが何よりの安息を生んでいるようです。
基礎は鉄筋コンクリート打ち放し仕上げ、外壁は杉板で厚15ミリ、屋根はガルバリウム鋼板葺きとする一方で、、内部に入ると印象が変わるような設計にとの思いもあり、壁の漆喰、天井の桧板などが、桧の太い柱やベイマツの梁を組み合わせた架構に馴染むよう心がけました。居間の米国V社のマキストーブを中心に、香ばしい広葉樹の赤々と燃える炎を見ながら、南アルプスの山々や住まいのまわりの木立を眺められるというように、また食堂に据えられた手づくりの桧のテーブルの香りを楽しみながら、和紙の照明で食事をするという醍醐味が相乗的に効果を生むように、それに吹き抜けのトップから差し込む木漏れ日が優しく御主人達の安らぎを包み込むことになればと考えています。
車庫からすぐに玄関にアプローチできるという計画は成功しているようで、雨の降る日は便利だと好評です。
当初別棟の車庫を考えていましたが、これは広い敷地ゆえに平屋部分の屋根を北に延ばしたプランに落ち着かせたことが大きいようです。日が暮れたあとの夕闇に映し出されるこの家の夜景は、付近に灯りがないせいもあって、闇の暗黒と家の幻のような薄明りが幻想的に詩情を奏でています。
| 建設地 | 長野県伊那市 |
| 家族 | 夫婦 |
| 型式 | 専用住宅 |
| 1階床面積 | 110.86㎡(33.59坪) |
| 2階床面積 | 47.07㎡(14.26坪) |
| 延床面積 | 157.93㎡(47.86坪) |
| 建築面積) | 154.91㎡(46.96坪) |



