長野県更埴市は「あんずの里」として有名で、春になると大勢の観光客で賑わいます。薄いピンクの花は山一面に咲き誇りまばゆいばかりです。更埴市のM邸は、2002年の末に完成した、東京都にお住まいのM氏の週末住宅です。週末になると家族でこちらに来て、自然を満喫し、活力を補うことも家を建てた目的のひとつです。敷地の中には狐を祭った小さな「やしろ」があります。これには赤い鳥居もあり、狐の神様達は、江戸時代から住まわれている、先祖代々の長い生活史を、見守ってきたようです。数百年の歳月を刻んだ古い家は、この家の着工とともに取り壊されましたが、神棚や古色のタンスはそのまま使うことにしました。これらは新しい家の中で存在感があり、何故だか居心地がよさそうです。
更埴は寒冷地なので、屋根には厚いポリスチレン系の断熱材を入れ、外壁の外側には空気層を確保して左官の塗り壁とし、床には屋根同様の断熱材を入れて、ぐるりと保温しています。ガラスもペアガラスです。この家は玄関の上に浴室が載っていますが、綿密な計算のもとにFRP防水という半永久的な施工で、これを可能にしています。居間、食堂、台所、廊下などの床には、厚さが24ミリの秋田県北秋田郡比内町の秋田杉を使いましたが、保温に優れ、素足に馴染みます。2階廊下の屋根のトップライトからは、太陽の光がさんさんと降り注ぎ、これが家全体を明るく、陽気なものにしています。敷地にはあんずの大木が1本、小柿という、黒い小さな実のなる柿の木が数本あり、これらの木の様々な造形が、これもまた太陽の光を受け、建物の薄いグレーの外壁に陰を落として、建物に生命の息吹を与えているようです。檜、杉、ベイマツといった木々と白い漆喰の壁がもたらす。
自然という恵みに、またそれらが奏でるガラス越しの、或いは住まい手との空間のハーモニーの中で、家の歴史が再び一歩づつ刻まれ始めていくことに、建主ともども感慨を抱きます。長野市のT建設のおかげで実現したこの家で、家族や親族の皆さんがいつまでも慈しみを持って長く大事に住まわれることを期待しています。


| 建設地 | 長野県更埴市 |
| 家族 | 夫婦+子供1人 |
| 型式 | 専用住宅 |
| 構造 | 木造2階建 |
| 暖房 | FF式ガスクリーンヒーター と エアコン併用 |
| 敷地面積 | 587.16㎡(177.93坪) |
| 建築面積 | 78.08㎡(23.66坪) |
| 1階床面積 | 67.10㎡(20.33坪) |
| 2階床面積 | 68.39㎡(20.72坪) |
| 延床面積 | 135.49㎡(41.06坪) |
