信州の建築家ノート~

本日、横浜の図書館に私の拙作「住みかのヒント」を2冊贈呈し
ました。

多くの市民の皆さんが、愛読される事を期待しております。

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■10月17日の新宿アクタス(家具ショールーム)における、
NPO法人・家づくりの会のセミナーにも大勢の皆様のご来場を
期待しております。(入場無料・14:00~16:00)

お申し込みは、家づくりの会  TEL: 03-5360-8061まで

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私の小説より

戦う住宅・頑張れセルフビルダー&日曜大工~

ふと、これで十数回目の改装をし、オーナーも十人目になったという、ガラス瓶の焼き肉レストランの方を見ると、黒くテカったデコイチの台車の上に載せられたレストランが、今でも動き出すんではないかという錯覚に襲われた。

今のところ保存がすこぶるいいらしい。そこには、何とも言えない熟練されたセルフビルドの味わいが醸し出されているではないか。

 デコイチの「たもつくん」の表情を 見ていると、「僕は、あの頃公園に置いてきぼりにされていましたが、あそこでただじっとうつむいているより、今では、ここの方が数倍居心地がいいんですよ、こうして、通行人を眺められるのもお陰さまというもので、私なんかにしてみれば、こういうのは、老人の再雇用のような有難いモンですよ・・・と言っているように見えた。さらに続けてたもつくんが言うには、

実は、公園は吹きっさらしで木もすくないし、夜になると、期待してたアベックどころか、迷いネコが一匹来て、その辺でおしっこするくらいで、他には誰も来ないんだから、やんなっちゃてたんです・・・

 そういえば、初老の白髭ぼーぼーのホームレスが、公園で蒼いテントを張ってみすぼらしげに自活してたこともありましたが、どうやら、暮らし向きが立たないと見えて、直ぐに居なくなっちゃいました・・・

それからは、もう寂しくて寂しくて、仕方が無かったんです、このまま僕は、ここで朽ちちゃうのかなあってね・・・なにしろ、屋根無しの吹きっサラシで、たまに忘れた頃、学校帰りの赤や青のランドセルの子供達が運転席の鉄のレバーを、ガチャガチャいじって、くすぐってくれるだけなんですから・・・

イヤイヤ、こんな事を言って済みませんでしたが、あなたも、是非また楽しいお食事にお越し下さい、きっとですよ。」と言って、私が再び来るのを期待しているのか、心なしか、満足げに微笑んでいるように見えた。

私は、「又、チョコチョコ来ますよ、あなたもいつもお元気でなによりですね、第三の人生ってのも、なんだか楽しそうじゃあないですか、それじゃあいつまでも達者で、バイバイ。」と言いながら、デコイチの「たもつくん」に向けて手を振ったのである。

デコイチの「たもつくん」が勇姿を誇っていたのが第一の人生なら、公園での寂しい生活が第二の人生。さらには、ガラス瓶のレストランとの共同生活という、明るい暮らしが第三の人生である。

そして、過ぎゆく時間が、たもつ君達の出で立ちをあたかもありふれた景色のように、あたりの町並みにしっとりと馴染ませてきたのである。

 セルフビルドでこういう建築が出来るんなら、これはこれで環境に溶け込むものなんだ。セルフビルドならではのやり方もあるじゃないか、他の方法では、こういう熊田のような思いつき建築なんて、そう簡単にできっこないモンなあ、私は、ふとそう思わずにはいられなかった。

 

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