・・寝室・・
寝室は、体力を回復し明日へのエネルギーを
蓄えるところです。
洋間であれ和室であれ、ここには静かなしつらえ
があればうれしい、睡眠を楽しもうではありませ
んか・・・

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私の小説・戦う住宅より~
彫刻家の決意~
・・・舞子との遭遇・・・
・・・それは、夏の日差しが眩しい昼さがりのことであった・・・
その日は数日来の晴天続きで蒸し暑かった。正三は、居間の窓を開けっ放しにして、レースのカーテンを半分ほど閉め、うつらうつら昼寝をしていると、そこへ突然大きな麦わら帽子をかぶり軽い身なりをした、若くて背の高い女が訪ねてきた。
女は、正三が寝ぼけ眼で、フラッと玄関に現われるや、まるでわっと堰をきったかのように、
「初めまして、私、舞子ウイリアムズといいます。あなたが錦織さんですか?・・・わーやっと会えたわ・・・嬉しい・・・」と全身を喜びで振るわせるように言い、さらに、
「あのー・・・他でもないんですが・・・私、私をあなたの弟子にしてくれませんか」と畳みかけてきた。
そして、舞子は錦織の視線を釘付けにさせたまま、今度はまるで藪から棒の小次郎のツバメ返しのように、
「それで・・・私をここに置いてほしいんです、ね、いいでしょう?」と無理矢理ねじ込んできた。
正三は、こういう降って湧いたような強引な押し出しに、
「うーん・・・それは・・・なんとも・・・」と唸るのが精一杯で、見慣れない物に驚いた島フクロウのようなまん丸い目に顔の筋肉を引きつらせたまま、モグモグするばかりだったが、それでも、
「あなたはどうしてまた、急にそんなことを考えたんだ」と聞いた。
すると、舞子は、
「数年前に東京の友人の結婚式であなたの「夕月」をいただいてすごく感激したんです。だから・・・それ以来ずっとここに来ることばかり考えてました」と言った。
正三は、そういういきさつを無碍にも出来ず、
「僕は弟子は取らないから、諦めて東京に帰ってくれ」と追い払う訳にもいかず、自分の分身のような「夕月」の知るよしもない旅路について、しばらく女に目を遣りながらあれこれ想いを巡らしたのであった。
舞子は、正三が自分と「夕月」の巡り合わせに得心して、思わず表情を緩めたのを見計らい、
「私、ブランクーシなんかも好きだし、自分でも彫刻を作ります。父はイギリス人で外交官だからニューヨークで育ったんだけど、ニューヨークに居たときはグリニッジビレッジで黒人のミュージシャンにサキソフォンを習ったんですよ」と言い、
「ちょうど一週間前に東京の会社を辞めたばかりで、今は失業中なんです」と弁解した。
どうりでエキゾチックな目鼻立ちだと思った正三は、
「よくもまあこんな物好きがいるもんだ・・それにしても、こんな若い女が僕の彫刻に感激してここまで来たとは・・・まあ、彼女の話もまんざら不愉快でもないが、世の中、どこでどう繋がってるのか分からん、しかし妙な事があるもんだ」と思った。
つづく・・・
