ホームページのトップ表紙をチェンジしました。
今年もまた質の良い住宅や多方面の建築を造る
お手伝いをしたいと思います。
今後とも宜しくお願い申しあげます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私の小説・戦う住宅より~
ある彫刻家の決意~
舞子の居候をどうしたものかと案じていた澄江は、舞子に対し、物置に入ると骨董に紛れ込んだ魑魅魍魎の闇が纏い付く、などとその場で思いついたことを言い並べ、暗に物置への立ち入りを牽制した。
澄江は、商売もさることながら、連れ合いの形見の骨董に埋もれて暮らすのが気に入っていたからだ。だが、正三の心を引き寄せたい舞子は、あえて骨董にこだわる澄江を相手にせず、そんなことにはお構いなしに毎日のように物置に出入りし、要らぬと思うモノに次々と青い荷札をつけてまわった。
正三は、ひと頃、毎日のようにウイスキーをあおり酔い潰れ、腐れきっていた。時間の観念がうつろに遠ざかり、頭を掻きむしったり、ダメだ、ダメだ・・・と意味不明なことを発しながら、壁に頭を何度もぶつけたり、ようやく出来かかった作品を後先を顧みずに破壊してはうなり声に荒んでいた。
嘗ての彼の制作現場は貧しく、裸で、沈黙の暗闇に停滞していた。舞子はそういう正三を知る由もない。だが、舞子が来てからは、正三の心の奥深く沈殿していた創造への想いが、少しずつ表に浮き出てくるようになり、それが作品にもじわりと現れ始めた。
彼女は、暫くして出雲の家に慣れてくると、次第に大陸的な物怖じしない性格が現れ出した。ある日何を感じたのか、アトリエの暗い室内に散らかった干からびたカボチャや北海道で拾った動物の頭蓋、海岸の砂丘で見付けた貝殻や腐った木の実、古びた掛け時計や路傍の石ころなどを、手当たり次第捨てようとした。
しかしそれを見て思い余った正三は、
「それは俺には大事で・・捨てられると困るモンだからやめといてくれんか」と諭した。そして、床に放り出し無造作においてあるゴミのような収拾物に目をやりながら、
「君はこんなモノは汚い収集物やがらくただと思うかもしれん・・しかしこれでもなにがしかは創造の泉になると思ってる・・・」と言った。
それに対して舞子は、
「創造の泉ねえ・・・ふうんそうなの・・・それにしてもなんでまたこういう腐ったような汚いカビが生えたような物までぐしゃぐしゃ置いとくのよ!こんなもの、どれもこれも、湿っぽくて気持ち悪くて邪魔でしょ、こんなのどこがいいっていうのよ」と干からびた黄色いカボチャをさも迷惑だと言わんばかりに眉間に皺を寄せながらつまみ上げた。
つづく・・・
