信州の建築家ノート

 6月はいろいろなニュースが飛び交った。

口蹄疫、はやぶさ、大相撲の野球賭博、
それに惜しくも敗れたサッカーのワールドカップ・・・

早いモノで1年の半分が通り過ぎた。

 先日、高校の同級会があった。
卒業以来、初めて会った同級生がいた。そもそも
当時のことも思い出せないのに、あなただあれ・・
名前は何だったっけ・・・こうなると昔が懐かしい
どころではなく、記憶が残っているかどうかすら危
ういという有様。

 このようにして、年を経るごとに記憶が薄らぎ、
思い出に浸ることが出来なくなるのも困ったものだ。


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    私の小説・戦う住宅より

       工務店の未来


 そこで、隣町や隣県に行って家を直してくれそうな工務店を探したり、物を売ってくれそうな店を訪ねて廻ったが、残念なことにどこもかしこも無人だった。

 ところが、そうこうしているうち、品番メーカーも細かなリフォームでは採算が合わんと言って撤退しちゃった。それで、家を直すにも、生活するにも、どうにもならなくなったという訳だ・・・

すると何時のまにやら、見ず知らずの流れ者のリフォーム業者が売り込みにきて、法外な値段でリフォームをやり始めたから堪らん。これがいい加減な手抜き工事で、特に老人世帯が騙された。これじゃあ、鼻つまみの振り込め詐欺とかわらん・・・

 そんなことをやっていたから、仕舞いには、どの家も荒れ放題になって、ボイラーは壊れるわ、空き家が増えるわで、すきま風ピューピュー、寒くてとても住めたもんじゃなくなった。中でも置き去りにされた品番住宅は、手が付けられないから、傷みが大きくなる一方だった。

 家の方はそんな按配で、もはやこれまでと、一人、一人いなくなった・・電気や水道やガスを止められちゃって、わしも寒くてかなわんから、皆の後を追って逃げ出したって訳さ・・・」

雄馬はこれを聞くや、
 「そうでしたか、それにしても、そんなになる前に若い人達が協力してでも老人世帯の家を直したり、食料の調達をしようとしなかったんですか」と問い正した。それに対して、近くで二人のやりとりを聞いていた労働者風の中年男が割って入ってきて、こう言った。

 「いやいや、それは無理だ、この町じゃあ、役人に始まり誰しもお互いのことなど考える余裕がなかった・・・役場の財政ときたら、工場が去ってからは税収が途絶えて破綻寸前、その上、リストラで職員を減らすところまで追い詰められてからに、インフラどころか個人の家に回す資金などあるわけがない・・・

 住民は皆いい人間ばかりなんだが、ほかの土地からやってきた流れ者が多いから、生活できなくなれば逃げ出すのも早い・・・しかも品番住宅のメーカー連中と来たら、細かい修繕やアフターサービスは苦手だといって消えちゃうし、頼みにしていた在来の工務店や材木屋や商店も早々にいなくなっちゃったんで、打つ手も枯れ果てちまって、我々にはどうにもならんかったということなんだよ」


   つづく・・・

 

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